大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26年(あ)2788号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

本件第一審のはじめより判決言渡まで終始関与した判事西川力一が、原審の昭和二六年四月二一日第四回公判に関与したことは所論のとおりである。しかし記録によれば、右判事が、原審の構成員として関与しているのは前記第四回公判のみであつて、且つ公判調書の記載によると、当日被告人は出頭せず、原審弁護人奧村仁三のみ出頭し、被告人が出頭できない理由で、公判期日の延期を求めたところ、立会檢察官においても異議がなかつたので、裁判長は合議の上弁護人の申請を許し、同日公判期日を五月一〇日に延期し閉廷したことが認められる。もとより同公判においては、なんら、本件の審理をせず、また同日だけで、判事西川力一はその後の公判には全く関与していないのである。このように第一審の裁判に関与した裁判官が、第二審の公判にその構成員として加わり、職務の執行に関与した場合においても、単に弁護人の申請により、公判期日を延期し閉廷したに止まるときは、なんら事件の審理に実質的に関与していないのであるから、刑訴二〇条七号に定める、裁判官が職務の執行から除斥される場合に当らないと解すべきである。このことは、同条同号に、「原判決又はこれらの裁判の基礎となつた取調に関与したとき」とあるによつても明らかである。また記録を精査しても、原審第四回公判以後において、裁判長鈴木正路、判事若山資雄、判事赤間鎭雄の構成により、事件の審理は正しく進行し、その間なんら不公平な裁判をする虞があることを疑わしめる形跡はいずこにも認められない。されば、所論原判決が、憲法三七条一項に違反するという主張は、その前提たる事実を欠くこととなり理由がないといわなければならない。

〔説明〕

刑訴二〇条によつて裁判官が職務の執行から除斥されるのは、第二審において同条七号等の理由がある場合ではない。同条七号は第一審における問題である。この点本判決は何か誤解しているのではなかろうか。従来の大審院判例においては、かかる場合やはり除斥さるべきであり、単にそれが審理に実質的に関与しなかつたという意味で、絶対的上告理由にならなかつたにすぎない(旧刑訴四一〇条二号)。

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